リスティング広告とSEO対策どちらが優れているか?
リスティング広告とSEOのどちらを採用すべきかについて考えていきましょう。
まず設問を全否定になってしまいますが、かなり比較に無理が生じます。
この点、ご理解頂いた上で読み進めて下さい。
1:各施策を比較した場合、それぞれの費用では見えない優位性を考える
リスティング広告出稿とSEOでの集客(ここでは検索エンジン経由でのアクセス流入を集客と呼んでいます。)にはそれぞれ異なる特徴があります。
■リスティングの場合
リスティングの場合、次のような優位性があります。
- LP一枚を用意するだけで広告出稿を開始可能(サイト構築の時間、コストが安価となる)
- 即日集客が開始される(広告出稿を開始するのに要する時間は非常に短く、即日開始が可能です。)
- 集客したユーザーの属性を見極めつつ、キーワードを変更、ユーザー属性をずらすことが容易
- 費用を無視すれば集客数をある程度一定に保つことが容易
■SEOの場合
SEOの場合、次のような優位性があります。
- インハウスでSEOを行えば、ランニングコストが掛からない(自社で全てのSEOを実施しホワイトハットなSEOに限る場合。)
- ドメインのオーソリティーが上がった状態であれば、スモールキーワードでのロングテール獲得が容易となり、かつコストも掛からない(サイトの信頼度が非常に高い状態までサイトを育てると、集客ターゲットのキーワードを検索数の少ないものであれば順次追加が容易でコストが掛からない。)
- オーガニックでのブランディング効果や信頼感をユーザーに与えられる。
- 上位に複数のページを表示させ、検索結果上での表示ウエイトを高めることが出来る。
ここまでを見て頂いて、各手法のメリットは対する手法のデメリットになる点がわかるかと思います。
リスティングであれば、
- 広告費を払い続けなければならない。またコストが増減するリスクがある。(支払いが不可能なコストに上昇するリスクがある。)
- 集客数を伸ばすには費用をより多く掛ける必要がある。
- 広告を避ける検索ユーザーが実在するため、必ずしも全ユーザーにリーチできるわけではない。
- 1サイトで複数の広告枠を獲得することは出来ない。
SEOであれば、
- 一定以上の難易度キーワードであれば、ペラサイトでは上位表示が困難であり、制作にコストが掛かる(ペラサイトとは1枚もののサイト等でコンテンツが薄いサイト)
- 上位表示までに時間が掛かる。
- キーワードの大幅変更はサイト設計の全面見直しとなり多くの時間とコストを要する。
- アルゴリズムの変更や更新により順位が大きく変動し集客数が増減するリスクがある。
ここまでの内容を元に、各手法のどちらが優れているかを考えてみましょう。
優劣を判断する上で、非常に重要な要素があります。
一つ目はビジネスの継続性です。
あなたのビジネスが実験段階にあり、中長期的なビジネスに成り得るかの経営判断が付いていない場合、優れた集客手法は『リスティング』であると言えるでしょう。
これは、スタート時点においてです。
中長期的な集客戦略を練る上で、SEOを排除することはナンセンスです。
もし、中長期でのビジネス展開が決定している(もしくは予定がある)のであれば、リスティングよるキーワード選定テストを行い、CVRの優れたキーワードでのSEOを開始すべきです。
これは、キーワードテストが容易であるリスティングの強みを効果的に利用し、中期的にはSEOによるオーガニック経由での流入を得る手法です。
二つ目はキーワードの状況分析です。
業種やエリアによってはSEOが極端に難しいキーワードで集客する必要があります。
あなたが上位表示させたいと考えるキーワードの難易度を確認する必要があります。
検索順位は相対評価です。ライバルの対策状況を確認することでどの程度の作業が必要となるのか目星を付ける必要があります。
キーワードによっては、ホワイトハットなSEOだけでは上位表示がほぼ不可能なキーワードもあります。
三つ目は作業時間の確保です。
リスティングとSEOを比較した場合、圧倒的にSEOが時間を要します。
(ミドル以上のキーワードを想定して書かせて頂いております。)
作業を外注化することで作業時間を掛けない方法もありますが、当然コストが掛かります。
リスティングも同様ですが、それ以上に正しいSEO手法を学習する時間が必要となります。これは作業の一部または全てを外注化した場合であっても、効果的な作業を立案する上で、ノウハウを蓄積しておく必要があるためです。
実作業を社内で行う場合には、サイトの設計からリンク構造の確認、追加するコンテンツの作成、ページの作成修正までを全て行う必要があります。
この作業は長期的に継続する必要があり、主業務の片手間で行うには大変な作業です。
四つ目はコスト(費用)についてです。
急成長を達成するために資本があるのか、またはゆっくりとした成長線を目指すのかにより決定方法は異なります。
予算が無制限にある企業は存在しませんが、無制限であるならば両手法を採用することでしょう。
限られた予算とROIを考慮し、いずれが最適かの判断が必要となります。
(予算はその後の売上発生により再予算が組まれる一連の流れを加味し考えるものであるとの意味です。)
追記:上記は、儲かったら儲けの一部を次回の広告費に回すことまで考えているとの意です。
ここまでのメリット、デメリットと考慮すべき4つのポイントをご覧頂き、ご自身のケースではと考えて頂ければ恐らくこちらかな?といった答えは出ようかと思います。
一般論として無理に答えを出すならば、
リスティング広告で魅力的なキーワードを探し、その後SEOを行う。
上位表示を達成するまでの間は、リスティングを併用運用する。
上位表示達成後も、CVRの優れたキーワードにおいてはリスティングの併用や拾いきれないスモールキーワードへの出稿も考える必要があるでしょう。
SEOエンジニアの視点とリスティングディレクターとしての視点で書き進めてきました。戦略立案時のご参考になさってください。
関連記事
-
-
SEOのご相談を頂いた際に、CMS導入を薦める訳
もしあなたのサイトは静的なhtmlで制作されており、CMS導入をすべきか悩んでいるならこの記
-
-
オーサーランクは気にするな!多過ぎる勘違い
Googleがオーサーシッププログラムを終了した現在において、オーサーランクにおける勘違いを
-
-
SEO効果の高い【良い記事】と【悪い記事】
どうも。忙しぶって記事更新をしない高橋です。 約1ヶ月ぶりです。 今回は、記事(≒コンテ
-
-
コンテンツ最適化シートとは?(COS:Content Optimization Sheet)
オウンドメディアを立ちあげたい場合、自社サービスサイトのトラフィックを増やしたい場合、コンテ
-
-
検索エンジンシェアをアンケートとって調べてみた
先日検索エンジンの利用調査アンケートを実施しました。 簡単に言えば「どこの検索エンジンを使
-
-
ブラックハットSEOの手法を正しく理解して欲しい(切実に)
当ブログでは、内部ソースの最適化やコンテンツの最適化をテーマにした記事や、サイトの表示速度に関す
-
-
SEO本かきました!インハウスSEO担当者におすすめの書籍です
自らサイト原稿を書いている経営者さんや、社内のWEB担当者さん、サイト制作者さん向けのコンテ
-
-
SEO効果あり!ページ表示速度の改善方法
サイトやブログの表示速度が遅い場合、大きなトラフィックの損失となっているかもしれません。
-
-
AdWordsに追加されたコールアウトには何を書くべきか(制限文字数内で)
2014年夏に追加された、AdWordsの広告文下に表示される「コールアウト」をご存知でしょ
-
-
SEOエンジニア視点でどこからが重複コンテンツ?ペナルティー対象?リライトは?
重複コンテンツは絶対ダメ! ただコピー&ペーストした記事が完全なアウトであることは皆さんご