コンテンツ設計におけるサーチインテント(検索意図)と本質的な希望の違い

公開日: : SEO, コンテンツ

   
 
   

コンテンツ設計には、検索意図と本質的な希望の把握が大切
最近では、ウェブサイトの構築・メディアサイトの構築時に、各キーワードの検索数や難易度、ページ単位でのプランニングを行うことは一般化したと言えるでしょう。
しかし、これだけではウェブ担当者の仕事としては不十分です。

不十分な要素は、『サーチインテント(検索意図)』と『本質的な希望』の理解にあります。
社内のウェブ担当者であれば、現在抱えるプロジェクトを成功させたいと考えていることと思います。
ここでの説明はその役に立ちます。

少しややこしい言葉が並び、理解しづらくなってしまいましたが、

  • プランニングしたキーワードで検索するユーザーはなぜ検索しているのか
  • そのキーワードで検索するユーザーはどのような希望を持っているのか

を理解した上で、コンテンツを作り始める必要がある点をこの記事では取り上げます。

まずは各言葉の定義から確認しましょう。

サーチインテント(検索意図)とは?

サーチインテント=search intent=検索意図

サーチインテントとは、ユーザーが検索した意図や理由を言います。
一般には各検索クエリに対し、その検索した意図を指します。

検索されたクエリが『SEOとは』であれば、
サーチインテント(検索意図)の多くは『SEOという言葉の意味やどのような略語かを知りたい』となります。
※『多くは』と付け加えた理由については後述します。
※以下、サーチインテント・検索意図は、『検索意図』と呼びます。

本質的な希望とは?

検索するユーザーは、情報を得たい場合や何かアクションを起こしたい場合が大半で、検索を通じてその意図(目的)が満たされます。
そして多くの場合、検索して情報を得ることが最終目的ではなく、その情報を活かし何かを得たいと考えています。
検索からアクションを起こす場合においても同様で、アクションを起こした結果、何か得たい体験や効果が裏にはあります。

これを『本質的な希望』と呼んでいます。
ここでの希望は、今すぐ叶えたい希望か、潜在的な希望かは問いません。

この言葉、一般化した言葉ではないため馴染みがないかと思います。
分かりにくい方は『潜在的な望み』や『最終的に得たい体験』等といった異なる言葉を用いても良いでしょう。

検索意図と本質的な希望の違い

ここまで見てきて、違いについては概ね理解頂けたかと思いますが、おさらいします。

検索意図は、検索した理由です。
本質的な希望は、検索し必要としていた情報等を得た後に更に得たい希望です。

つまり、検索意図は検索クエリから読み取ることが可能で、検索エンジンが検索結果として返すべき最適なリスト生成の要素です。
本質的な希望は、検索意図から想像するより人の本質に近い(生理的欲求に近い)希望を指し、多くの検索活動は『検索⇒意図を満たす⇒希望を満たす』と連鎖します。

理解を深めるために、例を挙げましょう。

『TOEIC 勉強法』が検索クエリの場合

この場合の検索意図の多くは、TOEICで高得点をとるための効果的で効率的な勉強方法を知りたいとなるでしょう。
この場合の本質的な希望の一例は、高得点をとることで転職活動を有利にしたかったり、社内評価を高めたいといった考えが挙げられるでしょう。

『人気 ジーンズ 通販』が検索クエリの場合

この場合の検索意図の多くは、人気のデザインやシルエットのジーンズを通販で購入したいとなるでしょう。
この場合の本質的な希望の一例は、おしゃれだと思われたい、流行に強いと思われたい、モテたいなどが挙げられるでしょう。

補足:なぜ『多くは』や『一例は』としたか

検索意図は、大概の検索クエリにおいて一つではありません。
先ほど例に挙げた『TOEIC 勉強法』というクエリであっても、

  • 短期間で学習するコツが知りたい
  • 時間をかけても高得点をとる方法を知りたい
  • おすすめの参考書が知りたい
  • おすすめの学習サイトが知りたい

など、検索意図は本来様々です。
クエリによっては、全く異なる意図をもった場合もあります。
例えば、『ワンピース 通販』がわかりやすいクエリでしょう。

  • 洋服のワンピースを通販で買いたい
  • 漫画ワンピースのコミックスを通販で買いたい

上記のように指し示すものが異なるクエリも存在します。
他にも、短いクエリ(単一キーワードなど)ほど、意図は分散され、一つに特定することが難しくなります。

このことから、ここでは主要だと思われる検索意図に対し、『多くは』としました。

同様に、本質的な希望においても多様である場合が多いです。
このため、『一例は』としました。
特に本質的な希望は検索したユーザーの環境や属性により非常に分散する傾向があり、主要なものと呼ぶよりは、一例と呼ぶことが最適だと考えています。

なぜクエリ毎の検索意図を意識する必要があるのか

ここまで検索意図と本質的な希望の意味について見てきましたが、なぜ検索意図をクエリ単位で意識することが必要なのでしょうか。
答えは簡単で、前でも少し述べましたが、検索エンジンが上位に表示させるウェブページは、検索意図を満たしたページとしたいと考えているためです。

端的に言えば、検索クエリの検索意図を最も満たしたページを用意すれば1位に表示されます。
(※Googleの理想の世界としては)

過去のGoogleは、検索キーワードに対し、最適なSERPs(検索結果ページ)を返していましたが、
現在のGoogleは、検索キーワードの検索意図に対し、最適なSERPsを返そうとしています。

このことからも、ウェブサイトやメディアサイトを担当するウェブ担当者は、検索意図を意識し深く考える必要が出てきました。

キーワードを検索意図でグループ化する

検索意図を意識することで、上位表示しやすいページを作れることはここまでの中でご説明しました。
では、今までのように月間検索数を取得したキーワードのリストは不要となるのでしょうか?

いいえ、不要とはなりません。
今後も検索数のリストは必要です。

検索キーワードとその検索数は、検索ニーズの大小を把握する上で、非常に重要な数値です。
しかし、検索エンジンはキーワードに対し検索結果を生成するのではなく、その検索キーワードの検索意図に対し検索結果を生成しますから、キーワードと検索意図を結びつける必要があります。

その工程として、キーワードを検索意図でグルーピングしましょう。

この工程は言い換えると、同じ検索意図を持ったクエリ群を束ねる作業だと言えます。
ここでも検索クエリの例を挙げ、考えていきましょう。

  1. うどん 作り方
  2. 饂飩 作り方
  3. うどん 作成方法
  4. うどん レシピ
  5. うどん 材料
  6. うどん 原料
  7. うどん ゆで方

いくつかの視点でグルーピングを行います。
ここで示すグループ分け方法が全てではありませんが、分かりやすい考え方を示します。

表記のゆらぎ

上掲クエリで、1と2の違いは『うどん』がひらがなか漢字かの差です。
ひらがなと漢字で若干異なるものを指し示すレアケースもありますが、多くで同一のものを指し示すでしょう。
ここでも、指し示すものは同一ですから、1と2のクエリは束ねることが出来ます。

言い換え

上掲クエリの1と3、4は言葉を言い換えただけで、検索者の検索意図は同一です。
『作成』が含まれることで、より小麦粉から製麺する工程を強く感じますが、検索意図としてはほぼ同一と言えるでしょう。

言い換えではない

上掲クエリの5と6は、言い換えとは呼びにくいでしょう。
ここでの材料とは、小麦粉と食塩と水を指します。
ここでの原料とは、小麦を指します。(小麦ではなく、小麦)
このため、一つのグループにするのは難しいと考えます。

大は小をかねる

上掲クエリの4ですが、一般にレシピとは、料理の材料や調理手順を説明する一式を指します。
ですから、5の材料や7のゆで方は、レシピのグループ内に含めることも出来ます。

ここまでの話をイメージ化

udon_kueri
検索意図でグループ分けのイメージがわいてきたでしょうか?
今までのコンテンツ戦略では、リーチを最大化する場合には、7つのキーワードそれぞれでページを用意していましたが、検索意図でグループ分けすることで、2つのページを用意することで全てのクエリに最適なページを返すことが可能です。
考え方として、5うどん 材料を切り出し、より材料について掘り下げたページを作ることも間違いではありませんし、7うどん ゆで方を単独ページとし、地域別や味付け別などで最適なゆで方や湯の温度等を掘り下げたページを作ることも間違いではありません。

誤解したイメージを持った方もいるかもしれないため、補足しますと、何でもかんでも一つのグループにまとめると良いものではありません。
大きなグループで囲むことで、個々のコンテンツは浅くなる場合があります。
これは、本質ではありません。
では、大きなグループで囲いながらも、個々のコンテンツは深く掘り下げると良いのでしょうか?

これは少し矛盾しますが、検索結果から移動した先のページが数十万文字書かれた非常に長いページであった場合、閲覧者は自身の欲しい情報を探すことに一苦労するでしょう。
このため、極端に大きなグループで囲い、移動後のページで該当部分を探すことに苦労する場合は、グルーピングを見直す必要があるでしょう。
以上のことから、最適な規模のグループとすることが重要です。(その程度が分からないという声も聞こえてきそうですが、ここでは本題とそれるため、聞こえなかったことにして進めます。)

検索意図と本質的な希望をセットで考える

検索クエリと検索意図をひも付け、グループ化するところまでご理解頂けたかと思います。
最後に大切な工程が、『検索意図と本質的な希望をセットにする』工程です。
はじめに述べたように、各検索意図を満たした後に得たい希望や体験が多くの場合であります。
例外として、興味を満たす検索や検索行為そのものが最大の希望であるケースもありますが、それ以外の多くの検索意図にはセットとなる本質的な希望があります。

先のうどんの例であれば、
検索意図=料理に必要な材料や調理手順、所要時間を知りたい
本質的な希望=美味しいうどんを食べたい(家族に食べさせたい)
といったセットになります。

意図で見えた知りたい点や起こしたいアクションが完了した後に、何を得たいと考えているかをセットで考えるようにしましょう。

補足:本質的な希望を考える必要性と重要性

優れたコンテンツは、検索結果上で上位表示させる目的だけでなく、閲覧ユーザーのニーズを深く理解し、作成されています。
ウェブページの滞在時間を伸ばす施策として、コンテンツの前半でユーザーの本質的な希望を言い当てる事が考えられるでしょう。
ウェブページ上での成約率を高める為に、キャッチコピーへ本質的な希望をからめることが考えられるでしょう。

コンテンツの設計者、作成者が検索ユーザーの本質的な希望を理解した上でコンテンツ作成に着手する場合、ユーザーのゴールが見えている分、大きなアドバンテージを得ることが出来ますから、是非この考え方もセットで実行して頂きたいと思います。

どうしても難しいこの2点

この検索意図と本質的な希望のお話は幾度と無く勉強会やセミナー内でお話させていただいていますが、すっと理解できる方としっくりこない方がいらっしゃいます。
センスと言えばそれまでですが、検索クエリから考える訓練を繰り返すことで習得できる技術だと考えています。

十分に理解出来た方は、是非明日からのプランニングで活用頂いたり、既存のプロジェクトの見直しに活用ください。
理解が不完全かも?と思う方は、是非意識的に検索意図と本質的な希望を考える訓練にトライしてもらえると嬉しいです。

 

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